遺伝する体臭の種類とメカニズム

体臭は、仕事や人間関係に支障をきたすこともあるため、しっかり対策することが大切です。そのためには、体臭の種類を見極める必要があります。体臭は、遺伝する場合があるため、親に体臭の原因となるわきがや魚臭症があると、自分も同じように体臭が出ている可能性があるのです。今回は、体臭の遺伝とメカニズムについて解説します。

遺伝する体臭(1)わきが

わきがと言えば、体臭の原因として一般的によく知られている症状です。正式には「腋臭症(えきしゅうしょう)」といいます。わきがは遺伝するといわれているため、親がわきがの場合は注意が必要です。

わきがのメカニズム

体温調節機能の一端を担う汗は、エクリン腺とアポクリン腺から分泌されます。エクリン腺から分泌される汗は、そのほとんどが水分で構成されており、においの原因にはなりません。しかし、脇にあるアポクリン腺から分泌された汗には、タンパク質やアンモニア、鉄分、脂質などが含まれており、これらの成分が皮膚の常在菌によって分解されることで、強いにおいを発生させます。つまり、わきがかどうかは、アポクリン腺の数で決まるのです。

わきがの遺伝の確率

わきがは、片方の親がわきがの場合は約50%、両親ともにわきがの場合は約75%もの高確率で遺伝するとされています。

アポクリン腺は、思春期頃から活動を始めるため、思春期まではわきがに気づくことはできないでしょう。人はにおいに慣れるため、ずっと一緒にいる親に気づけない場合があります。自分と親に接点を持つ共通の知人や親戚に聞いておくといいかもしれません。

 

遺伝する体臭(2)魚臭症

体臭と言えばわきがを想像する方が多いかもしれませんが、実は魚臭症(ぎょしゅうしょう)という症状でもにおいが発生します。

魚臭症とは?魚臭症のメカニズム

魚臭症とは、魚が腐ったかのようなにおいが口や身体から発生する病気のことです。周りの人を不快な気持ちにしてしまうだけではなく、自分も魚の腐ったにおいに悩まされることになります。症例が非常に少なく、検査の方法も確立されていません。そのため、原因がわからずに体臭や口臭に悩まされている方もいるのです。

魚臭症は、正式にはトリメチルアミン尿症といい、トリメチルアミンは魚の鮮度が落ちたときのにおいを発生させる物質です。体内でトリメチルアミンが作られてしまうことで、呼気や汗によって体外へ排出され、においが発生するのです。

ただし、トリメチルアミンは健康な人の体内でも作られているため、それだけでは魚臭症にはなりません。 健康な人との違いは、トリメチルアミンを無臭化する酵素が作られていないことで、トリメチルアミンを分解できないところだとされています。また、酵素は肝臓で作られるため、肝臓の機能が低下している方も魚臭症になる可能性があります。

魚臭症の遺伝の確率

魚臭症は、遺伝する可能性があります。しかし、その頻度は非常に稀だとされており、生活習慣や食生活などの要因と重なることで発症するものと考えられています。

魚臭症を防ぐ方法は確立されていませんが、トリメチルアミンの発生に繋がるレシチンやコリン、トリメチルアミンオキシドの摂取を避けることが効果的とされています。 それぞれ、次のような食べ物に含まれています。

・コリン

卵黄、牛や豚、鶏などのホルモン、ナッツ、ブロッコリーなどに多く含まれています。

・レシチン

卵黄や小魚、ごま油などに多く含まれています。コリンも含まれている卵黄は、食べすぎないようにした方がいいでしょう。

・トリメチルアミンオキシド

海水魚やカニ、エビ、タコ、イカなどに多く含まれています。つまり、海に生息する食べ物は、貝類以外は控えた方がいいということです。

ただし、これらの食べ物を控えたとしても、先天的にトリメチルアミンを分解する酵素を作れなくなっている場合は、魚臭症になる可能性が高まります。

 

加齢臭は遺伝するの?

加齢臭は、加齢に伴って増加する皮脂の影響で発生するにおいのことです。加齢とともに皮脂の分泌が増え、酸化することでにおいの原因物質に変わります。また、皮脂の成分が変わることもにおいの原因となります。加齢臭は加齢とともに強くなるにおいですが、遺伝する可能性はあるのか気になる方もいるでしょう。

加齢臭が遺伝する根拠はない

加齢臭は、皮脂の分泌が関係しており、魚臭症のように体内の特殊な成分が関係しているわけではありません。多くの人が経験することであり、遺伝の根拠もないとされています。遺伝が関係ないということは、普段の生活や食事、運動習慣などが関係していることになります。

遺伝よりも生活習慣が肝に

加齢臭は、睡眠や食事、運動、ストレスなどが発症に関係しています。次のような習慣に注意しましょう。

・睡眠不足

睡眠不足はストレスに繋がります。ストレスは皮脂の分泌を増やすため、加齢臭の悪化に繋がるのです。夜更かしが癖づいている方は注意しましょう。また、睡眠の質も大切なので、寝る前にスマホやテレビなど刺激になるものを見ないようにしてください。

・脂質が多い食事

脂質の摂りすぎは、皮脂の過剰分泌に繋がるため、ファストフードや焼肉などの食事が多い場合は、意識的に控えた方がいいでしょう。

・タンパク質の摂りすぎ

タンパク質を摂りすぎると、腸内の悪玉菌が増加します。悪玉菌は、においの原因となるアンモニアや硫化水素を作りだすため、汗ににおい物質が混ざることで加齢臭を発生させてしまいます。タンパク質の摂りすぎに注意しましょう。

・活性酸素が過剰に発生する生活習慣

活性酸素は、細菌やウイルスを退治するために必要です。しかし、過剰に発生すると細胞を酸化させてしまうため、肌トラブルの原因になります。同時に、皮脂を酸化させることでにおいの元へと変えてしまいます。活性酸素は、トランス脂肪酸を多く含むジャンクフードやドーナツ、ケーキなどを摂ることで発生しやすくなります。また、紫外線も活性酸素を発生させる原因となるため、外出時は紫外線対策を欠かさないようにしましょう。抗酸化作用のあるビタミンEを含むきのこや緑黄色野菜、ナッツ類などを意識的に摂ることも大切です。ただし、ナッツ類には脂質が多く含まれているので、摂りすぎないようにしましょう。

・運動不足

運動不足は、筋力の低下を招きます。筋力は血流に深く関わっているため、筋力が低下すると血流が悪くなるのです。そうすると、身体が冷えて代謝が低下し、においの元となる物質の代謝が滞ってしまいます。その結果、加齢臭が強くなってしまうのです。ストレッチやウォーキングなどから始め、慣れてきたらジョギングや水泳、サイクリングなどにシフトしていきましょう。

・入浴をしない

入浴をしないと、肌の表面の過剰な皮脂を落とすことができず、皮脂が酸化してにおいの元になります。1日1回は必ず入浴し、肌の表面に必要な皮脂だけがある状態を保ちましょう。また、湯船にコップ1杯の酢を入れるのもおすすめです。酢の殺菌作用によって、肌の増えすぎた常在菌を抑えられ、においにアプローチできます。

 

まとめ

体臭は、わきが、魚臭症、加齢臭のどれかが原因です。わきがや魚臭症は、生活習慣を改善しても、においを大きく抑えられるわけではありません。そのため、悩みすぎる前に医師に相談することが大切です。

加齢臭は、多くの方が経験するにおいの原因です。どうしても起きてしまうものですが、睡眠や食事、運動などの習慣を改善することで、においを和らげられる可能性があります。わきが以外は遺伝性が低いとされているので、普段の生活を整えてできるだけ予防しましょう。