HARG療法はAGAにも効果ある?

HARG療法は、AGA(男性型脱毛症)の治療方法のひとつとして注目されています。薄毛で悩んでいる方にとって、治療の選択肢が増えるのはうれしいことだと思いますが、気になるのは効果の程度ではないでしょうか。 そこで今回は、HARG療法でAGAがどのくらい改善できるのかという点や注意点について解説していきます。

まずはAGAの原因を知ろう

HARG療法について見ていく前に、まずはAGAの原因やメカニズムを確認しておきましょう。

AGAのメカニズム

AGAによって薄毛になるメカニズムは完全に解明されたわけではありませんが、今のところ遺伝性要因や男性ホルモンの一種による影響が主原因だと考えられています。

AGAの原因となる男性ホルモンは「DHT(ジヒドロテストステロン)」といい、AGAによって脱毛した部分からは高濃度のDHTが検出されるようです。 DHTは、テストステロンという男性ホルモンが「5αリダクターゼ」という酵素によって変化・生成されることが判っています。そして、DHTが増えると毛乳頭の細胞内に結合し、発毛・育毛サイクルを乱してしまうのです。 DHTの発生に関わる5αリダクターゼの性質や、それと結びつく毛乳頭細胞内の受容体(レセプター)の数は、遺伝によってほぼ決まると言われています。そのため、AGAになりやすいかどうかは生まれもった体質だと捉えることができます。

先天的な原因の他、AGAは以下のような後天的な要因によっても発症が促進されると考えられています。 ・ストレス ・睡眠不足 ・肉類過多の食生活 ・過剰な飲酒 ・喫煙 こうした生活習慣は血流の悪化を引き起こすので、発毛・育毛に必要な栄養素が供給されにくくなってしまいます。また、ストレスや睡眠不足が続くと自律神経が乱れ、成長ホルモンの分泌を妨げることがあります。

 

HARG療法のAGAへの効果と注意点

では、HARG療法がAGAにどれくらい効果があるのかを見ていきましょう。効果だけではなく注意点も要チェックです。

HARG療法のAGAへの効果

HARG療法には、発毛機能を活性化するという効果が期待できます。具体的には、発毛を促進させる成長因子を幹細胞から抽出し、頭皮(表皮と真皮の間)に直接注入するという治療方法です。

成長因子が含まれた有効成分を注入すると、毛包という毛根を包んでいる組織の機能が改善し、発毛に欠かせない毛母細胞の活性化が促進されるというメカニズムです。発毛・育毛の土台となる組織の回復に役立つため、乱れていた発毛・育毛サイクルも改善され、薄毛予防につながると考えられています。

なお、現在HARG療法で用いられている成分は多岐にわたります。発毛を促す150種類以上のタンパク質成分をはじめ、アミノ酸の一種シスチンやビタミンBなどを患者の症状に合わせて配合・処方されます。さまざまな成分をブレンドするので、注入する薬剤はHARGカクテルと呼ばれています。

HARG療法は、薄毛が広範囲に広がっている場合でも効果が期待できるところが利点です。ただし、HARG療法が受けられる病院はまだ多くなく、治療費が高額なので手軽な治療方法とは言えません。

HARG療法で根本改善はできない

HARG療法は、発毛に欠かせない毛母細胞を活性化できるという点で魅力的な治療方法ですが、AGAの根本的な改善はできないという指摘もあります。その理由は、AGAの原因のひとつであるDHTという男性ホルモンをHARG療法では防ぐことができないからです。

先述したように、テストステロンが変化して生成されるDHTが増えると、抜け毛が促進します。そのため、現時点でAGAを根本的に改善するには、薄毛につながる男性ホルモンの働きを抑えることがとても重要だと考えられているのです。 HARG療法は比較的新しい治療方法なので、医学的根拠はまだ十分ではありません。それでも一定の効果が期待できるため、HARG療法を採用する病院は増えています。

 

AGAの根本治療は薬での治療

AGAを根本的に治療したい場合は、現在のところ薬が有効だと考えられています。AGAの治療薬としてポピュラーなものを3種類ご紹介しましょう。

フィナステリド

フィナステリドは、AGAの原因とされる男性ホルモンDHTの発生を防いで、乱れた発毛・育毛サイクルを整えることができる内服薬です。具体的には、DHTを生成する5αリダクターゼ2型の働きを抑え、テストステロンと結合するのを防ぐ作用があります。

フィナステリドは「プロペシア」という名称でも知られています。日本皮膚科学会のAGA診療ガイドラインの中でも推奨されている他、日本の厚生労働省に相当するFDA(米国食品医薬品局)でも有効薬として認可されていて、2015年からはジェネリック薬の販売も始まっています。 ただし、フィナステリドは以下のような副作用が現れることがあるので注意が必要です。

・性欲減退

・食欲減退

・抑うつ症状

・下痢

・頭痛

また、フィナステリドは男性専用の薬であり、女性が服用すると重い副作用が現れる場合があります。女性が触れるだけでも危険なことがあるので取り扱いには気をつけましょう。

デュタステリド

デュタステリドは、5αリダクターゼ2型だけではなく1型も阻害することができる内服薬です。もともと、前立腺肥大症の治療薬として開発されたものですが、薄毛についても改善効果がみられたためAGA治療薬「ザガーロ」としても承認されています。

5αリダクターゼ2型に対する薬理効果は、フィナステリドの約3倍あると言われています。増毛効果は約1.6倍あるため、プロペシアであまり効果が出なかった方が、ザガーロを服用したら改善したというケースも見受けられます。 ただし、実際に発毛効果が現れるまでは少なくとも6ヶ月以上服用し続けなければなりません。

また、副作用としては性欲減退や勃起不全など生殖機能の低下が現れる可能性があります。 この薬も、フィナステリドと同様に女性の服用は厳禁です。薬自体はコーティングされているので、割れたりしていなければデュタステリドの成分が露出することはありませんが、例えば妊娠した女性が成分に触れると胎児に悪影響を及ぼすリスクがあるため注意しましょう。

ミノキシジル

ミノキシジルは、毛を生み出す毛母細胞を活性化することができます。また、毛細血管を広げて血流を改善したり、発毛・育毛サイクルを延長させたりする作用も期待できるので、薄毛を防ぎながら発毛を促進させることが可能です。

ミノキシジルが配合されている薬としては「リアップ」などの外用薬がよく知られていて、薄毛が気になる部分の頭皮に塗布して使います。内服薬としては日本では薬事承認されていないため入手できませんが、海外から輸入したものを医師が調剤・処方することは認可されています。

ミノキシジルの外用薬には重い副作用はないようですが、デリケートな肌質の方は頭皮にかゆみやかぶれが現れる可能性があります。また、ミノキシジルはもともと血管を拡張して血圧を下げる降圧薬として開発されたので、血圧が不安定な方や心臓に持病がある方には重い副作用が現れることがあるため、医師の指示に従って適切に服用することが重要です。

 

まとめ

HARG療法には、発毛・育毛の土台となる組織を回復させる作用があるため、AGAによる薄毛の改善に役立ちます。成長因子などの有効成分は症状に合わせてブレンドできるので、患者ごとにオーダーメイド処方が可能なところも魅力的なポイントです。

ただし、HARG療法はAGAの主な原因とされる男性ホルモンDHTを阻害することはできないので、根本改善はできないとも言われています。DHTを阻害できる治療方法は、フィナステリドやデュタステリドなどの薬です。 フィナステリドやデュタステリドは、DHTの産生に関わる5αリダクターゼの働きを抑制することができ、抜け毛予防につながります。

ミノキシジルは日本では外用薬が主流ですが、薄毛が気になる部分に塗布すると成分が浸透し、毛母細胞の活性化や発毛・育毛サイクルの延長が期待できます。 AGAの症状は人によって異なり、全員が同じ治療方法で改善するとは限りません。それぞれの治療方法の効果や注意点・副作用を踏まえ、納得した上で治療を受けましょう。