育毛・薄毛に漢方は効くの?

「漢方薬は育毛・薄毛に漢方は効くの?」という疑問にお答えします。漢方薬は西洋医学の内服薬とは異なり、自然由来の薬なので安心感を持っている方は多いと思います。実際に漢方薬は薄毛に効果があるのか、どのような薄毛に効果的なのかなど、さまざまな視点から薄毛治療に用いる漢方薬を解説していきます。

育毛・薄毛に対する漢方の効果

まずは薄毛・育毛に対する漢方の効果についてご説明します。漢方とはどのような薬なのか、育毛に対する根拠、実際にどのような効果があるのかを正しく知っておくことが大切です。

そもそもの漢方の目的

漢方薬が目的としているのは治癒力の向上と体質改善です。漢方薬は東洋医学の考え方が基になっており、数種類の生薬を調合して症状に合ったものを作ります。生薬は天然の有効成分が含まれる動植物が素材となっており、服用することで体質が改善され、身体の治癒力が高まります。

漢方療法の育毛に対する医学的根拠はない

漢方薬について、日本皮膚科学会のAGA診療ガイドラインには記載がなく、発毛・育毛に対する医学的根拠はないと考えてよいでしょう。あくまでも漢方薬の効果は身体機能を整え、体が本来持っている自然治癒力を高めることで健康状態を目指すことにあります。

漢方薬は発毛・育毛を直接期待するのではなく、他の薄毛治療のサポートとして使用するのがよい使い方だといえるでしょう。

血行改善などの間接的な効果に期待

育毛・薄毛に対して漢方薬で期待できるのは血行改善など間接的な効果となります。育毛・薄毛の原因の一つとして、血行不良による頭皮環境の悪化があります。漢方薬が頭髪の成長に直接働きかけることはありませんが、頭皮の血行が改善されることで、間接的には薄毛の改善につながると考えてよいでしょう。

 

薄毛のタイプ別でみる適した漢方薬

ここでは薄毛のタイプ別に適した漢方薬を解説します。漢方では、髪は血からできているという考え方をしています。毛髪のトラブルはすなわち血のトラブルになるので、毛髪の悩みに対しては基本的に血の状態を改善するアプローチをとります。西洋医学でも薄毛となる原因の一つが頭皮の血流不足であるとされているので、漢方の考え方は間違っていないことがわかります。

髪が細い薄毛のタイプ

髪が細い薄毛のタイプは東洋医学で「血虚(けっきょ)」と呼ばれる体質です。体内の血が不足していたり、血液の質が悪くなっていたりする状態なので、コシがなくなりパサついたような弱々しい髪質になると考えられています。この髪質を改善するには、参茸補血丸や十全大補湯などの漢方薬を用いて血液を補うようにします。

加齢による抜け毛のタイプ

加齢による抜け毛は「腎虚(じんきょ)」と呼ばれる状態から起こっています。腎とは腎臓ではなく、東洋医学でいう生命力や生殖力が溜まっている場所のことで、身体の老化と深いつながりがあると考えられています。

腎虚とは、老化に伴い腎の機能が衰えているという意味になります。腎虚からくる抜け毛の対策を行うには、腎を補うための漢方薬を服用すればいいことになります。何首烏末に亜鉛や冬虫夏草を加え、体質によっては補腎薬も用いるとよいでしょう。

ストレスによる抜け毛のタイプ

ストレスによる抜け毛は円形脱毛症であることが多く、原因のほとんどはストレスを長期間受け続けることによるものです。そのような抜け毛には柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)や桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)などの漢方薬を用いてみましょう。

柴胡加竜骨牡蛎湯は、神経症や精神が不安定な状態を改善するときに用いられます。 桂枝加竜骨牡蛎湯は、桂枝湯に牡蠣と竜骨を配合した漢方薬で、高ぶった神経を鎮めるとともに、不安定となった精神状態を落ち着かせる効果があります。 どちらも効用は似ていますが、柴胡加竜骨牡蛎湯は体力がある人、桂枝加竜骨牡蛎湯は虚弱体質の人というように使い分けられています。

ストレスを軽減するための生活を心がけるとともに、リラックス効果があるこれらの漢方薬だけでも改善されることは多いのですが、血虚の治療も必要であれば帰脾湯(きひとう)も併用します。 帰脾湯は、血の巡りを良くするとともに、不安な精神状態を和らげてくれます。

頭皮の皮脂による薄毛のタイプ

頭皮の皮脂による薄毛のタイプは.「湿熱(しつねつ)」と呼ばれるもので頭皮のベタつきが特徴です。熱と湿気が体に溜まってしまい、頭の皮脂が多い状態になっています。 黄連解毒湯(おうれんげどくとう)や瀉火利湿顆粒(しゃかりしつかりゅう)などの漢方薬で、体から余分な熱や湿気を取り除いてあげて、頭皮の環境を改善しましょう。

また別のアプローチとして、六味地黄丸(ろくみじおうがん)、六君子湯(りっくんしとう)、人参養栄湯(にんじんようえいとう)、半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)を用いる治療もあります。 六味地黄丸は体にとって必要な水分を補い、六君子湯は胃腸虚弱を改善します。消化が悪く、貧血や冷えの症状もあるなら人参養栄湯、胸焼けやゲップが出るような症状には半夏瀉心湯を用います。 このように薄毛治療であっても、患者の全身の状態を診て多方面からアプローチしていくのが漢方の特徴です。

 

漢方を利用する際の注意点

漢方薬を用いる場合には注意しなければならないことがいくつかあります。漢方薬は体質改善を目指すものなので即効性はなく、治療には1ヶ月以上の長い期間が必要です。ゆっくり体質が変化していくといっても、薬には違いありませんので用法用量についてよく理解しておくことが大切です。

必ず医師・薬剤師に相談のうえ処方されたものを使う

漢方薬は効き目の現れ方が緩やかなので、扱い方について軽く考えてしまいがちですが、れっきとした薬です。必ず医師や薬剤師に相談して、正しく処方されたものを使ってください。とくに他の病気治療で薬を飲んでいる場合には医師や薬剤師にその旨を伝え、アドバイスを受けてください。薬には飲み合わせの相性があり、飲んだ薬の組み合わせによっては近い成分の過剰摂取になったり、効き目が悪くなったりするなどの悪影響があります。

漢方を飲むタイミング

漢方薬を飲むタイミングは空腹時がよいといわれています。これは体が成分を吸収しやすい状態になっているからです。とはいえ、漢方薬の場合は飲むタイミングについてそれほど神経質になる必要はありません。飲み忘れることさえなければ、自分のライフスタイルに合わせてタイミングのよいときに服用すればかまいません。もし飲み忘れてしまったときは、1日2回の漢方薬を例にすると、次に飲む時間までは6時間ほど間を開けたほうがいいようです。

自己判断で量を変えたりやめたりしない

漢方薬は自己判断で量を変えたりやめたりしないようにしましょう。漢方薬は定められた分量を守り、習慣化して飲むことが大切だからです。漢方薬は作られ方によって煎じ薬、エキス剤などの種類にわかれます。煎じ薬は生薬を直接煎じて飲むもので、エキス剤は煎じ薬を顆粒や錠剤に加工したものです。

おすすめしたいのは効き目がはっきりしている煎じ薬ですが、煎じ薬は苦味が強く、人によっては続けにくいタイプの漢方薬かもしれません。その場合は飲みやすいエキス剤を選び、必要な分量はしっかり摂れるように心がけてください。

 

まとめ

「育毛・薄毛に漢方は効くの?」をテーマに、漢方薬を用いた薄毛治療についてご紹介しました。漢方薬は薄毛に直接働きかけるのではなく、体質を改善することで髪に良い環境を作るものであることがわかりました。即効性がないので気長に治療しなくてはなりませんが、頭皮環境をしっかり整えたい人には見逃せない方法ではないでしょうか。この記事を読んで興味が湧いた人はぜひ、漢方に詳しい医師や薬剤師に相談してみてください。