発毛の最新技術「毛髪再生医療」とは

薄毛を改善する治療の選択肢に、「毛髪再生医療」があるのをご存知ですか?毛髪再生医療では薬の内服・外用をせずに発毛を促すことが可能です。 そこで今回は、発毛の最新技術である毛髪再生医療について詳しく解説します。すでに行われている治療方法から、実用化が期待される最先端技術までご紹介するので、幅広い治療方法を知りたい方は必見です。

毛髪再生医療ってどんなもの?

毛髪再生医療には色々な技術や治療方法がありますが、大きなくくりではどのようなものなのでしょうか。毛髪再生医療の概要と、現在すでに実施されている治療方法を確認していきましょう。

毛髪再生医療とは

毛髪再生医療には以下のような2つの特徴があります。

・薬の内服

・外用が不要

正常なヘアサイクル(毛周期)に導く 皮膚科や専門クリニックなどでの薄毛治療は、プロペシアやザガーロといった飲み薬やミノキシジルのような塗り薬を用いるのが主流となっています。こうした治療薬は、男性に多い薄毛の原因物質DHT(ジヒドロテストステロン)の産生の阻害や、頭皮の血行促進に有効です。 一方、毛髪再生医療は髪の毛が生え変わるヘアサイクルに着目した治療方法です。

髪の毛は、成長期・退行期・休止期という3段階を経て発毛・脱毛をくり返していますが、このヘアサイクルが乱れると抜け毛が増えて薄毛につながります。 例えば男性に多いAGA(男性型脱毛症)を発症すると、ヘアサイクルが短くなり、髪の毛が十分育たないうちに脱毛してしまいます。毛髪再生医療では、ヘアサイクルを乱している原因にアプローチし、正常な状態へと導いていきます。

実際に病院で行われている毛髪再生医療

現在、病院やクリニックなどで実施されている主な毛髪再生医療を3つご紹介しましょう。

<HARG療法>

HARG(ハーグ)療法とは、「毛髪再生治療」を意味する「Hair Re-generative therapy」の頭文字をつなげたもので、「HARGカクテル」という有効成分を直接頭皮に注入します。 HARGカクテルは、細胞の活性化を促す150種類以上の成長因子やビタミン・タンパク質・アミノ酸などの栄養素をブレンドした薬剤です。アレルギーや副作用のリスクが低く、施術時間も短いので頭皮の負担も少ないでしょう。 定期的に注入すれば毛根周辺の細胞が活性化し、ヘアサイクルが改善されやすくなるという治療方法です。

HARG療法は日本医療毛髪再生研究会によって認可された医療機関で受けることができ、投与する成分はあらかじめ決められています。

<グロースファクター再生療法>

グロースファクター(growth factor)とは成長因子のことで、髪の毛の成長に必要不可欠な要素です。グロースファクター再生療法も、HARG療法と同様に発毛を促進させる成長因子を頭皮に直接注入することで発毛を促進させます。

HARG療法と異なるのは、薬剤に用いられる成長因子が5〜6種類と少なく、各クリニックの自由裁量の度合いが大きいという点です。クリニックの治療経験や症状を踏まえて、より効果的なブレンドに変更・改良することが可能なので治療が合えば大きな効果が得られる可能性があります。

<脂肪幹細胞療法>

患者自身の脂肪を採取し、そこから成長因子を抽出して頭皮に注入する治療方法です。脂肪の成長因子を注入すると、毛根周辺の細胞が活性化して停滞していたヘアサイクルが回復する可能性が出てきます。また、うまくいけば頭皮に新たな毛細血管が形成されることもあるため、そうすれば血行が促進され、発毛に必要な栄養もすみずみまで行き渡りやすくなります。

 

毛髪再生医療のメリットとは

毛髪再生医療の概要や具体的な治療方法をご紹介しましたが、このような最新技術を受けるとどのようなメリットがあるのでしょうか。

薬が使用できない人も治療できる

毛髪再生医療は、薄毛治療に用いられている薬が使えない方でも治療を受けることができます。 薬は症状の改善効果が得られる一方で、副作用のリスクがありますし、人によってはアレルギー反応を誘発させてしまうことも。

また、プロペシアやザガーロのような内服薬は女性の服用が禁止されています。 その点、毛髪再生医療は副作用のリスクが低く、男女問わず利用することができます。薬を長期にわたって服用し続けることに抵抗がある方でも、比較的安心して治療を受けられるでしょう。

発毛効果が出るのが早い

毛髪再生医療は、発毛効果が現れるまでの期間が短いというところも魅力ポイントです。 薬を使った治療では、薄毛を引き起こしている男性ホルモンの一種に作用することで抜け毛を防ぎ、ヘアサイクルを徐々に正常に近づけていきます。それに対し、毛髪再生医療ではヘアサイクルを刺激する成長因子を直接患部に注入したり、髪が生える細胞を頭皮に直接移植したりするため、即効性や再生力が高いと考えられています。

 

最新技術を駆使!今注目される毛髪再生医療

最後に、注目が高まっている毛髪再生医療を2つご紹介しましょう。実用化はこれからですが、最新技術を駆使した薄毛治療の方法として期待されているので、今のうちにチェックしておきましょう。

京セラと理研による毛髪再生技術

電子部品・半導体メーカーでもある京セラと理化学研究所(理研)は、共同で毛髪再生技術の開発に取り組んでいます。 その内容は、患者から採取した健康な髪の毛の毛根組織を培養し、薄毛部分に移植するというものです。動物実験ではすでに発毛効果が実証されていて、人の頭皮を使った臨床試験に向けて準備が進められています。

採取する毛根組織は、髪の毛を生み出す毛包という部分の2種類の幹細胞(毛乳頭細胞と上皮性幹細胞)で、これらを元に「再生毛包」を加工するようです。この手法では少量の細胞から大量に培養できるので、頭皮の切除も小さく済み、体への負担が軽減できます。また、患者自身の細胞を利用するためリスクも低く抑えられるといわれています。

資生堂とレプリセル社による毛髪再生技術

化粧品の大手メーカー資生堂は、カナダのバイオベンチャー企業であるレプリセル社と提携して毛髪再生技術の開発を進めています。 資生堂が着目したのは毛球部毛根鞘細胞(もうきゅうぶもうこんしょうさいぼう:略称DSCC)という組織です。この細胞には毛包をつくる働きがあり、髪の根元にある毛球部分を刀の鞘(さや)のように包んでいます。

この手法では、まず他部位と比べて薄毛になりにくい後頭部の髪の毛を頭皮ごと10本程度採取し、そこからDSCCを切り離して培養・増殖します。そして、培養したDSCCの細胞を薄毛部分に移植すれば髪の毛が生えてくるという仕組みです。 資生堂の毛髪再生技術も切除範囲が小さいため、傷跡が残りにくいといったメリットがあります。ただし、培養中にがん細胞に変異してしまうなど副作用のリスクが報告されていて、実用化に向けた課題のひとつとされています。

 

まとめ

毛髪再生医療は、薬を使わずに発毛を促進させる最新技術として注目が高まっています。毛髪再生医療では発毛にかかわる細胞に直接作用して活性化させ、乱れたヘアサイクルを正常に導くことが可能なので、比較的短期間で発毛効果が現れることもあるようです。

現在クリニックなどで実施されている毛髪再生医療としては、成長因子や栄養素を直接頭皮に注入するHARG療法やグロースファクター再生療法などがあります。 また、近い将来に実用化が期待されている手法として、患者自身の細胞を採取し、髪の毛をつくる毛包を培養・移植する毛髪再生技術も開発が進められています。 ご紹介したように、発毛を促す治療は薬物療法以外の選択肢も増えつつあります。それぞれ効果やリスクは異なるため、医師と相談し、自分に合う方法かどうかを検討した上で利用しましょう。