頭皮治療で健康な頭皮に!皮膚科で行う頭皮トラブルの治療とは

頭皮が健やかでなければ、髪の健康は保たれません。とはいうものの、頭皮がトラブルの起きやすい場所であることも事実。豊かな髪を守り続けるために、頭皮の疾患やその治療に関する知識は身につけておきたいところです。頭皮に起こる4つの皮膚トラブルと、皮膚科で行われる頭皮治療を本文で学んでみてください。

皮膚科で行う頭皮治療(1)脂漏性皮膚炎の治療

脂漏性皮膚炎とは

頭皮のかゆみが続いており、かつ髪が極端に脂っぽいなら、「脂漏性皮膚炎」の罹患を疑う必要があります。

脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)とは、皮脂の分泌量が多い箇所に生じる皮膚の炎症です。主な症状は、頭皮のかゆみや発疹、大量のフケの発生など。 脂漏性皮膚炎の原因は、はっきり特定されていません。ただ、皮脂の過剰分泌と、それにともなう「マラセチア菌」の増加によって発症すると考えられています。

マラセチア菌はカビの一種。常在菌(常に人体に住みついている菌)であり、基本的には無害な細菌です。ただ、何らかの原因で皮脂が過剰分泌すると、その皮脂をエサとして増殖し、皮膚に害をおよぼします。 より具体的にいうと、増殖したマラセチア菌は皮脂の中性脂肪を分解し、遊離脂肪酸を発生させます。この遊離脂肪酸が皮膚に刺激を与えることで、皮膚炎が生じると考えられているのです。

また、マラセチア菌の働きによって酸化した皮脂自体も、皮膚炎の原因になると考えられています。 もっとも、皮脂の過剰分泌が起こらなければ、マラセチア菌の増殖も起こりません。脂漏性皮膚炎の根本原因は、皮脂の過剰分泌を招く生活習慣(偏った食生活や寝不足など)や、ホルモンバランスの乱れなどにあるとするのが一般的な見解です。

脂漏性皮膚炎の場合の頭皮治療

脂漏性皮膚炎に対する頭皮治療には、外用薬が用いられます。通常であれば、まず選択されるのは効き目の弱いステロイド外用薬です。かゆみの度合いによって、ステロイド薬の強さは調整されます。

また、脂漏性皮膚炎には先ほど解説したマラセチア菌も関与しているため、治療には抗真菌薬も用いられます。このほかの脂漏性皮膚炎の治療法としてあげられるのは、抗真菌薬入りシャンプーの使用や、ビタミン剤の処方など。

大人が発症した脂漏性皮膚炎は慢性化しやすいため、治療は長期間にわたる可能性があります。少しでも早く症状を治したいなら、日常生活でセルフケアを行うことが肝要。食事の栄養バランスの見直しや、十分な睡眠時間の確保などが、脂漏性皮膚炎の早期改善につながります。

 

皮膚科で行う頭皮治療(2)尋常性乾癬の治療

尋常性乾癬とは

頭皮に盛り上がった紅斑(皮膚の赤み)が見られ、かつ大きな角質が頭皮から落ちる症状があるなら「尋常性乾癬」の罹患を疑う必要があります。

尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)は、炎症と角化症が同時に起こる「炎症性角化症」の1つ。角化症とは、皮膚の表面が分厚くなり、かつ硬化する症状です。尋常性乾癬によって分厚くなった皮膚は、やがて「鱗屑(りんせつ=脱落した角質)」となってはがれ落ちます。

以上が尋常性乾癬の主な症状であり、通常は強いかゆみや痛みは出ません。また、尋常性乾癬は感染症ではないため、他人にうつる可能性はゼロです。 尋常性乾癬の発症原因は、現在のところ不明。ただ、遺伝や環境的要因が、主な原因と見られています。 尋常性乾癬は、命に関わるような危険な病気ではありません。とはいえ、患部が広がる可能性があるため、発症が見つかったら早めに皮膚科で治療を受けたほうが賢明です。

尋常性乾癬の場合の頭皮治療

尋常性乾癬の頭皮治療は、炎症を抑える治療と、角化症を抑える治療を組み合わせて行うことが一般的です。たとえば炎症を抑える治療には、ステロイド外用薬の使用や、メシクロスポリン内服薬の処方、紫外線療法などがあげられます。シクロスポリンとは、免疫の過剰な働きを抑制する医薬品です。

一方、角化症を抑える治療には、ビタミンD外用剤の使用や、レチノイド内服薬の処方などがあげられます。レチノイドとは、古い角質を除去して、皮膚の弾力を高める効果のある治療薬です。

以上のほかにも、尋常性乾癬に用いられる治療法は多数あります。ただし、確実に症状が完治するような、決定的な治療法はありません。 尋常性乾癬の頭皮治療では、症状の重さや体質に合わせて、なるべく効果的かつ副作用の少ない治療法が選択されます。治療は長期におよぶ場合が多いため、患者は医師とともに、根気強く病気と向き合わなければなりません。

なお、日常生活で受けるストレスは、尋常性乾癬を悪化させる要因と考えられています。もし、尋常性乾癬の発症が見つかったら、なるべく心身にストレスがかからない生活を送るように心がけてください。 ストレスの緩和および、尋常性乾癬の悪化抑制には、15分程度の日光浴がおすすめです。日光浴にはリラックス効果がありますし、日光に含まれる紫外線には、乾癬改善に役立つビタミンDを体内に生成させる働きがあります。

 

皮膚科で行う頭皮治療(3)頭部白癬の治療

頭部白癬とは

かゆみがないのにフケのような鱗屑がたくさん出て、かつ楕円状の薄毛が発生したら、頭部白癬の罹患を疑う必要があります。 頭部白癬(とうぶはくせん)は、髪に「糸状菌」が寄生することで起こる疾患。「シラクモ」とも呼ばれる疾患で、近年ではまれな病気です。

頭部白癬にかかると、患部の髪が折れやすくなります。これは糸状菌が、髪の主成分である「ケラチン」を栄養源としているためです。つまり頭部白癬に罹患すると、髪が糸状菌に侵食されて、もろくなってしまうのです。 糸状菌によってもろくなった髪は切れやすくなりますし、根元から抜けてしまう場合もあります。

頭部白癬が進行すると、部分的な抜け毛が増えて、円形脱毛症のような状態になる場合も。 頭部白癬を円形脱毛症と誤診されると、治療でステロイド外用薬が誤用され、「ケルズス禿瘡」が生じる可能性があります。ケルズス禿瘡とは、患部から膿が出る症状です。こうした誤診の危険性を避けるには、診察の段階で頭部白癬の検査を受けることが肝要です。

頭部白癬の場合の頭皮治療

頭部白癬の頭皮治療では、まず毛髪を採取して糸状菌が寄生していないか検査します。頭部白癬の治療は、抗真菌薬の内服が基本。糸状菌は毛髪に住みついているため、外用薬では駆除できません。

抗真菌薬の服用は、2〜3ヶ月間ほど続けることが一般的です。このほか頭部白癬の治療には、抗真菌剤が入ったシャンプーが用いられる場合もあります。 なお、頭部白癬は感染力の強い疾患です。他人にうつる可能性があるため、罹患が疑われる場合は速やかに病院で診察を受けてください。

 

皮膚科で行う頭皮治療(4)ひこう性脱毛症の治療

ひこう性脱毛症とは

大量のフケをともなう抜け毛が生じているなら、ひこう性脱毛症の罹患を疑う必要があります。

ひこう性脱毛症は、大量発生したフケが原因で起こる脱毛症。フケが髪の成長を妨げることにより、薄毛になってしまう疾患です。 ひこう性脱毛症の原因となるフケの発生要因は、正確には解明されていません。一般的には、ホルモンバランスの乱れやアレルギー、偏った食生活などによって起こる炎症が、フケの大量発生をまねくと考えられています。

ひこう性脱毛症の主な症状は、髪の発育不足や抜け毛、頭皮のかゆみなど。初期段階では、フケの影響により痩せた弱々しい髪が生えるようになります。そのまま症状を放置すると、髪の発育状態がさらに悪化。最終的には脱毛してしまいます。

ひこう性脱毛症の場合の頭皮治療

ひこう性脱毛症の症状は、先に解説した脂漏性皮膚炎とよく似ています。このため、ひこう性脱毛症の治療方法は、脂漏性皮膚炎に対する頭皮治療とほぼ同じです。

治療の中心となるのは、ステロイド外用薬や抗真菌薬の塗布、生活習慣の指導など。脂漏性皮膚炎の場合と同様に、抗真菌薬入りのシャンプーが処方される場合もあります。

 

まとめ

かゆみやフケ、脱毛などのトラブルは、頭皮からのSOS信号です。もし、本文で解説した症状に思い当たるものがあるなら、なるべく早く皮膚科で診察を受けてください。早期の頭皮治療が、髪の健康維持と抜け毛予防につながります。