フィナステリドの副作用と注意点

「フィナステリド」は、「男性型脱毛症(AGA)」の治療薬として国内で使用が認められている内服薬です。国内の検査では、1年間の継続服用で半数以上に薄毛の改善が見られるなど、発毛、育毛効果が医学的に証明されています。しかし、高い効果を誇る一方で、薬の添付文章には幾つかの副作用についての記述が見られます。使用について注意が必要な薬でもあります。

AGA治療薬・フィナステリドで起こり得る副作用

フィナステリドはAGA治療のために、世界のさまざまな国で使用されている飲み薬です。服用している人や服用を考えている人も多いので、どんな副作用があるのかきちんと理解しておきましょう。

副作用(1)性欲減退・勃起機能不全

フィナステリドを有効成分とする「プロペシア」に添付されている薬の情報を記載した文書には、フィナステリドの主な副作用である性欲減退、勃起機能不全についての記述があります。

その文書によると、日本国内で行われた最初の評価試験で、フィナステリドを服用している人の1.1%に「性欲低下」、0.7%に「勃起機能不全」が認められたそうです。評価試験とは、薬の承認のために行われる試験のことです。

また、副作用はフィナステリドの服用を中止した後も続いたとする報告もあります。アメリカでは、こうした結果に危機感を抱いた複数の医師によって「ポストフィナステリド症候群財団」が創設され、フィナステリドの後遺症についての研究が続けられています。

副作用(2)肝機能障害

「プロペシア」の添付文書には、性機能不全と並ぶ深刻な副作用として、「肝機能障害」についての記述もあります。ただし、肝機能障害は前述の国内での評価試験で確認されたものではなく、諸外国からの報告や医療関係者、一般の使用者の自発的な報告によって、明らかになった副作用なので、発生頻度は不明です。

副作用(3)過敏症

性機能障害や肝機能障害の他にも、国外の医療関係者や一般ユーザーからの報告により、かゆみ、じんましん、発疹、むくみといった副作用の起こるケースが明らかになっています。また、抑うつ症状、めまい、乳房の肥大といった症状が起こる可能性のあることもわかっています。

 

フィナステリドの副作用が出たときは

フィナステリドについては、いままで見てきたようにさまざまな副作用が認められています。では、副作用と思われる症状が現れた場合には、どう対処すればいいのでしょうか。

服用を中止する

フィナステリドによる副作用が疑われる症状が現れたら、ただちに使用を中止してください。多くの場合、薬をやめることで、副作用の症状は解消されることがわかっています。

ただし、性機能障害のように服用中止後も継続する副作用もあるので油断は禁物です。症状が続く場合には、医療機関を受診して医師の診断を受けるようにしましょう。

特に肝機能障害は健康に非常に大きな悪影響を与える副作用です。肝臓に何らかの問題を抱えている人は、服用開始前に主治医に相談することをおすすめします。また、服用中に健康診断などで肝機能についての数値に異常が認められた場合は、必ず医療機関を受診しましょう。

医師に相談し別の治療薬を検討

フィナステリドの服用により副作用が現れた場合は、服用をやめる必要があるので、同じ薬でAGA治療を継続することは困難です。AGA治療を続ける意思があるのなら、医師に相談して治療法を変更する必要があります。

現在のところ、国内で認可されているAGA治療の内服薬は、フィナステリドとデュタステリドの2種類だけ。デュタステリドを有効成分とする薬は「サガーロ」のみです。フィナステリドと比べて新しい薬なので、ジェネリック医薬品はまだ開発されていません。また、内服薬と併用されることが多い外用薬は、ミノキシジルの使用が認可されており、「リアップ」の商品名で薬剤師がいる薬局やドラッグストアで販売されています。

この他、後頭部や側頭部などまだ髪の毛が残っている場所から、薄毛が目立つ場所に髪を移植する自毛植毛なども選択可能です。

 

副作用以外にもあるフィナステリドの注意点

フィナステリドには、副作用のほかにも、服用できない人がいるなど、気をつけたいポイントが幾つかあります。

妊娠中の女性や子供には禁忌!取り扱いに十分注意を

フィナステリドは、女性と未成年の服用が禁止されています。女性を対象にした評価試験が行われておらず、効果や安全性について保証することができないからというのがその理由です。

フィナステリドは、男性ホルモンのテストステロンと結びついてAGAの原因物質のDHT(ジヒドロテストステロン)を作り出す酵素の働きを抑える薬です。このため、男性のAGAには一定の効果が期待できます。しかし、女性の薄毛については、男性と同じしくみで発症するかどうか疑わしいため、フィナステリドが薄毛を改善するのに役立つかどうか疑わしいというのが現状です。

また、安全のために、妊娠中の女性がフィナステリドを服用することは絶対に避けるべきです。男の子の赤ちゃんの生殖器などが、正常に育たないおそれがあると考えられているからです。未成年についても、女性と同様、効果と安全性が確認されておらず、服用が禁止されています。

フィナステリドは割ったり砕いたりしないこと

フィナステリドを割ったり、砕いたりするのは危険です。薬の成分は皮膚からも吸収されるので、破損した錠剤に妊娠中の女性や未成年の人が触れると、薬を服用したのと同じ状況になるおそれがあるからです。

フィナステリドの表面はコーティングされているので、通常の飲み方をしている限り、皮膚から成分が吸収されることはありません。フィナステリドは購入時に入っていた容器に入れてふたを閉め、湿気の少ない、子供の手の届かないところに保管しましょう。

フィナステリドで前立腺がんの検査の数値が半減する

フィナステリドを服用していると、血液検査で調べる前立腺がんの腫瘍マーカー「前立腺特異抗原(PSA)」の数値が、およそ半分に低下することがわかっています。

前立腺がんの診療ガイドラインでは、PSAの基準値は4.0ng/mL未満です。この値を超えると異常値と判断され、さらに精密な検査を受ける必要があります。ところが、フィナステリドを服用していると、PSAの血液中の濃度が高い状態でも検査値は低いままなので、異常を見逃してしまうおそれがあるのです。

フィナステリドを服用している人が、健康診断や前立腺がんの検査を受ける場合には、フィナステリドを飲んでいることを、必ず医師に伝えてください。また、フィナステリドを服用している場合は献血が行えません。献血の事前の問診票には、1カ月以内のフィナステリドの服用の有無を問う項目があります。

 

まとめ

フィナステリドは、AGA治療の内服薬として、発毛、育毛効果が医学的に認められている薬です。ただし、高い効果が確認されている一方で、国内での試験や諸外国からの報告により、いくつかの副作用が認められています。

フィナステリドを成分とする「プロペシア」の添付文書には、性欲減退・勃起機能障害、肝機能障害が副作用として記載されています。また、かゆみ、じんましん、発疹、むくみなどが見られるケースもあるようです。

副作用の現れ方には個人差があり、薬を飲むことで必ず副作用が起こるとは限りません。もし、フィナステリドを服用して何らかの体調変化や異常が見られる場合は、すぐに服用を中止してください。多くの場合、薬をやめれば副作用の症状は改善されますが、症状が残った場合は早めに医師に相談しましょう。

さらに、フィナステリドは女性、未成年への処方が禁止されており、特に妊娠中の女性が服用すると胎児の発達に悪影響を与えるおそれがあります。薬効成分は皮膚からも吸収されるので、薬の扱いにはくれぐれも注意して、子供の手の届かない場所に保管してください。