体臭を消す薬ってあるの?

わきがや汗臭など、体臭でお悩みの方は薬でにおいを消したいと思いませんか?体臭が強く出てしまう方は、皮膚を清潔に保ったりデオドラント用品を使うなどの一般的な対処方法ではなかなか改善しにくいですが、薬を利用すれば軽減できる可能性があります。 そこで今回は、体臭を消すのに役立つ薬の特徴について、体臭のタイプ別に解説していきます。

腸内に働きかける薬で体臭対策

体臭や口臭が腸内環境の悪化にある場合は、腸内に働きかける薬を服用することで改善が期待できます。体臭というと汗や皮脂がにおうイメージがあるため、腸内環境と言われてもピンとこないかもしれませんが、腸の状態と体臭には関連性があります。

腸内に働きかける薬とは

腸内に働きかける薬を服用すると、腸内の悪臭ガスに作用したり腸内環境を整えたりすることによって体臭や口臭を抑えることができます。

便秘などで腸に老廃物が溜まるとそこから悪臭ガスが発生します。悪臭成分は便やおならとして排出されるだけではなく、腸管に吸収され、血液に混ざって体のあちこちから汗や呼気と一緒に放出されるようになります。これが腸の状態が原因の体臭・口臭です。

私たちの腸内には、ビフィズス菌をはじめとする腸内環境を良好に保つ善玉菌の他、腸の調子を悪化させる悪玉菌も生息しています。悪玉菌にはウェルシュ菌や大腸菌などがいて、食生活や生活習慣の乱れなどでそれらが優位になると、アンモニアや硫化水素、インドールといった悪臭成分が大量に産生され、キツい口臭や体臭につながるのです。 そのため、腸が原因の体臭を防ぐには、腸内で発生した悪臭ガスの中和や善玉菌の働きを活性化させることが効果的です。腸内に作用する薬には、消臭効果のあるシャンピニオンエキスや、善玉菌を増やすオリゴ糖や乳酸菌などが配合されているので、悪臭ガスが全身にまわるのを防いでくれます。

口臭と体臭に効果が期待できる

腸内に作用する薬は、腸内環境の悪化が原因の口臭や体臭を軽減するのには効果的ですが、原因が異なるわきがにはあまり効果がありません。 ご説明したように、腸内環境が悪化して腸管に吸収された悪臭ガスによる体臭や口臭であれば、シャンピニオンエキスなどの成分は効果を発揮します。でも、わきがのようにアポクリン腺の細胞の中で悪臭成分が生成される場合は効果が発揮されません。 薬を飲んでも体臭や口臭が軽減されない場合は、他の原因を探ってみましょう。

 

多汗症による汗臭の薬

汗をかく量が人より非常に多い「多汗症」による体臭が気になる場合は、発汗を抑える薬が有効です。 汗臭は、汗腺から分泌された汗が皮膚の上の細菌によって分解されたり酸化したりすることで発生します。そのため、発汗量を減らせば汗臭も軽減できるのです。 また、多汗症の方は大量の汗をかくことへの不安感から精神的に不安定になることもあるため、症状によっては自律神経を整える薬や向精神薬が処方される場合もあるようです。

多汗症で処方される抗コリン剤

多汗症の方に処方されることが多いのが「抗コリン剤」という内服薬です。 エクリン腺という水分量の多い汗を出す汗腺は交感神経の影響を受けていて、交感神経の末端から分泌される興奮伝達物質アセチルコリンが活性化すると発汗量が増えます。このアセチルコリンの働きを抑制して汗の量を減らすことを抗コリン作用と呼びます。

抗コリン剤としてよく知られているのはプロバンサインという薬で、保険適応内で処方されます。神経系に働きかけるため即効性があり、服用してから1時間程度で効果が現れます。全身に作用するため、体の色々な場所から大量に発汗してしまう方でも効果を感じやすいでしょう。

また、抗コリン剤はプロバンサイン以外にもあります。効果の程度や、眠気や口の渇きなど副作用の出方も薬によって異なるため、薬をもらうときは医師や薬剤師の説明をよく聞きましょう。

発汗を抑える外用薬も有効

多汗症の治療には、抗コリン剤のような内服薬の他に塩化アルミニウムといった発汗を抑える塗り薬が処方されることもあります。 塩化アルミニウムを皮膚に塗布すると、汗腺にフタをしたような状態になり発汗を抑えることができます。

発汗量の多いわきや手、足などに使えますが、やや刺激があるため、傷がある部分に塗るのはやめましょう。 外用薬は、病院によっては症状や部位に応じて適切なものを処方してもらえます。ただし、保険適用外の可能性があります。

 

わきがの薬

わきがを改善するための薬としては、多汗症の場合と同様に発汗を抑えられる抗コリン剤や塩化アルミニウムのような外用薬が処方されることがあります。また、発汗を調整する作用のある補中益気湯(ほちゅうえっきとう)などの漢方薬も有効だと考えられています。 とはいえ、わきがの根本的な原因はアポクリン腺という汗腺にあるため、薬だけで根本的に改善するのは難しいです。薬以外の治療方法としてはボトックス注射や手術治療があります。

わきが治療で行われるボトックス注射

ボトックス注射は、交感神経から汗腺へ刺激が伝わるのをブロックすることで発汗を抑制する治療方法です。注入物はボツリヌス菌から抽出した成分で、毒素は除去されているので安全性は確保されています。 発汗を抑える効果が高いため、汗の分泌量が多い腋の下の汗をコントロールしやすく、それに伴うにおいも軽減できます。治療に要する時間も5分程度なので負担は少ないですが、効果の持続期間は長くても6ヶ月程度なので定期的に治療を受け続ける必要があります。

短期的にはボトックス注射はとても有効ですが、根本的に治したい場合は次にご紹介する手術治療がおすすめです。

わきがの根本治療なら手術治療

わきがの根本的な治療方法として多くの病院やクリニックで行われているのが、腋の下にあるアポクリン腺を除去する手術です。この手術は剪除法(せんじょほう)と呼ばれ、腋の下の皮膚を1〜2ヶ所切開してアポクリン腺をひとつずつ取り除いていきます。

わきがの方は、通常よりアポクリン腺の量が多かったりサイズが大きかったりするため、においの元であるアポクリン腺を除去することはわきが予防に最も効果的だと考えられています。なお、腋の下のアポクリン腺を除去することによって、他の部位の発汗量が増えてしまうことはありません。 ただし、腋の下のすべてのアポクリン腺を除去するのは難しいですし、数%は再生することがあるようです。そのため、手術をしたからと言って完全に無臭になるわけではないという点は理解しておきましょう。

手術のために入院する必要はなく、通院での治療が可能です。傷跡はしばらく残るため、生活に支障のないタイミングを選ぶことをおすすめします。

 

まとめ

わきがや汗臭などの体臭は、それぞれのにおいの発生要因にアプローチした薬を利用すればある程度消すことができます。 腸内環境の悪化によって体臭が強くなっている場合は、腸内で発生した悪臭ガスを中和する効果のある薬や、善玉菌を増やしてお腹の調子を整える作用のある薬が効果的です。

多汗症に伴う汗臭に対しては、抗コリン剤のような発汗量を抑えることができる内服薬や、皮膚に塗布することで汗腺にフタをしたような状態になる外用薬がよく用いられています。

わきがも多汗症と同様の薬やボトックス注射が有効ですが、根本的に治したい場合は腋の下のアポクリン腺を切除する手術を検討しましょう。 体臭を改善する薬などの治療法は色々あり、適切な方法を選べば気になるにおいを効果的に防ぐことができます。ご自身の体臭の原因がどこにあるのかを医師に相談しながら、最適な薬や治療方法を選択してください。