体臭の原因は肝臓の不調かも…肝臓が悪いとくさくなる理由

ご自身の体臭がいつもと違うことに気付いたら、内臓の不調を疑ったほうがよいかもしれません。とくに疑ってみて欲しいのが、肝臓の不調や病気。肝臓の調子が悪くなると、体臭がキツくなる場合があるのです。 といっても、肝臓自体がにおいを放つわけではありません。ではなぜ、肝臓の不調によって体が臭くなるのでしょうか。肝臓と体臭の関係に迫ってみましょう。

体臭と肝臓の関係

肝臓は、栄養の分解や合成などを行う重要な臓器です。その働きから、肝臓は体の「化学工場」と呼ばれています。この臓器と体臭には、どのような関係があるのでしょうか。

肝臓でアンモニアを分解している

肝臓の機能の1つである、「オルニチンサイクル」をご存知でしょうか。この機能は、肝臓の不調にともなう体臭の発生と密接に関係しています。

ごく簡単にいうと、オルニチンサイクルとは、アンモニアを分解して尿素に変える働きです。アンモニアは人体にとって毒物ですが、タンパク質を分解する過程で必ず発生します。そこで、体内で発生したアンモニアは、肝臓の働きによって害の少ない尿素に変換されるのです。 この尿素への変換に欠かせないのが、「オルニチン」というアミノ酸。肝臓内のオルニチンとアンモニアが結合すると、「シトルリン」という物質に変わります。シトルリンは肝細胞で「アルギニン」に変換され、最終的に尿素とオルニチンに分かれます。

以上の一連の働きが、オルニチンサイクルです。オルニチンサイクルが正常に機能しているかぎり、体がアンモニアの影響を受けることはありません。しかし、肝臓の調子が悪くなると、アンモニアによって体にさまざまな不調が起こります。その不調の1つが、体臭というわけです。

肝臓の不調で発生する体臭はどんなにおい?

肝臓の不調でオルニチンサイクルが正常に機能しなくなると、体に残ったアンモニアが血液に混じるようになります。その結果、血液に乗ったアンモニアが体中を循環。汗や皮脂に混じって分泌されて、においを放ちます。 つまり、肝臓の不調で発生する体臭とは、アンモニアのにおいなのです。

アンモニア臭といえば、温泉地や火山口のにおい、もしくは洗い流さずに放置した尿のにおいです。体から尿のにおいがするというのは、誰が考えても気持ちのよいものではありません。

なお、肝臓に不調が起こる原因は多数ありますが、疲労もその1つです。体が疲れると、さまざまな臓器に影響が出ます。肝臓は500以上もの働きをもち、かつ疲労物質の処理も行っている臓器。肉体疲労の影響を真っ先に受けるのは、肝臓だといってよいでしょう。 疲労によって肝臓の機能が低下すると、前述のとおりアンモニアが血液に混じります。アンモニアは疲労物質であり、さらなる疲労を招きます。 つまり、肝臓が疲労すると、体の疲れがとれない悪循環に陥ってしまうのです。このように、疲労との関わりが強いことから、肝臓の不調による体臭は「疲労臭」と呼ばれています。

 

肝臓の不調による体臭を予防するには

肝臓の不調による体臭は、ぜひとも予防したいところ。そこで実践したいのが、肝臓の健康を保つ生活習慣です。以下でご紹介する習慣を、生活に取り入れてみてください。

お酒の飲みすぎに注意

お酒の飲み過ぎが肝臓に負担を与えることは、多くの方がご存知のことでしょう。過度な飲酒は肝臓にダメージを与え、体臭を発生させます。逆にいえば、お酒の飲み過ぎに注意することが、体臭の予防につながります。

ここで簡単に、お酒と肝臓の関係について触れておきましょう。お酒に含まれるアルコールは、人体にとっては毒物です。毒物であるアルコールが胃や腸から吸収されると、ただちに肝臓に運ばれて分解がはじまります。 肝臓に運ばれたアルコールは、まず「アセトアルデヒド」になり、最終的に無害な酢酸に分解されます。適度な飲酒量であれば、アルコール処理だけで肝臓が疲労することはありません。 他方、飲酒量が適量を超える場合は話が別。肝臓は延々とアルコール処理に追われることになり、やがて疲れ果ててしまいます。

飲酒した翌日の体臭が気になるなら、そのにおいは飲み過ぎのサインです。健康を維持するためにも、お酒は適量を楽しむようにしてください。

低脂肪高タンパクの食事を心がける

肝臓の不調による体臭を防ぐには、食事に気を配ることも肝要です。肝臓の働きを助け、かつ負担をかけない食事を心がけることで、キツい体臭の発生を予防できます。

毎日の食生活の基本としたいのは、低脂肪高タンパクの食事です。タンパク質を多く含む食材は、疲労した肝細胞の再生を助けてくれます。

タンパク質は、魚料理や大豆、乳製品から摂るのがベター。肉料理を食べたいときは、ささみや赤身肉のメニューを選びましょう。 自分で調理を行う際は、油の使用量を減らすよう心がけてください。油や脂肪分の多いメニューは、脂肪肝(肝臓の30%以上を脂肪が占める状態)の原因になります。

以上のポイントに加えて、ビタミンやミネラル、食物繊維の補給も心がけるとベストです。具体的には、野菜や根菜、海藻類を積極的に摂るとよいでしょう。これら食品には、腸内環境を整えて、アンモニアの吸収を抑える働きがあります。

適度に運動し肥満に気をつける

適度な運動習慣は、肝臓の不調が原因の体臭を遠ざけます。とくに運動不足で肥満が気になる人は、体を動かす習慣をつけてください。

運動不足の状態が続くと、体に中性脂肪が溜まって脂肪肝になる可能性が高まります。運動不足で肥満になることにより、糖質や脂質があまって中性脂肪が溜まってしまうのです。 脂肪肝になると肝機能は低下しますし、肝硬変や肝臓がんを患うリスクも高まります。健康を保つためにも、ぜひ運動習慣を身につけてください。

なお、ハード過ぎる運動は、体臭の原因となってしまう場合があるのでご注意を。過度な運動は体の疲労を招き、結果的に肝臓を疲れさせてしまう場合があります。 肝臓の不調による体臭を防ぐための運動は、ウォーキングや軽いジョギング程度で十分。無理のない範囲で、体力に合った運動をはじめてみてください。

食後30分は安静にする

食後30分〜1時間のゴロ寝は、肝臓の不調による体臭を遠ざけます。というのも、食事で摂取した栄養の処理は、食後30分〜1時間の間に活発化するからです。 この時間帯に横になると、体の血流が増して肝臓が働きやすくなります。結果的に肝臓の働きに余裕が生まれ、アンモニア処理の効率もアップ。体臭予防につながるというわけです。 もし、食後に横になれない場合は、椅子に深く腰掛けてください。これだけでも、肝臓の働きを助けることができます。

 

肝臓以外にも!体臭の原因になる臓器

不調によって体臭をまねく臓器は、肝臓だけではありません。たとえば胃腸や腎臓の不調も、体臭の原因となる場合があります。これら臓器の不調が引き起こす体臭について、詳しく見ていきましょう。

胃腸の不調による体臭

胃腸の調子が悪くると、口臭がキツくなる場合があります。息に酸っぱいにおいが混じったり、食べ物が腐ったようなにおいが混じったりするのです。 これら口臭の正体は、胃酸のにおいや消化できていない食べ物のにおい。どちらのにおいも、胃腸の機能が低下することで発生します。

胃腸に関連する体臭としてもう1つ注意したいのが、便秘が原因で生じるにおいです。便秘によって腸が詰まると、胃の中の食べ物が行き場を失います。便の渋滞によって、胃から腸へと食べ物が流れなくなるのです。その間も胃の中で消化は進み、溶けた食べ物から出た腐敗臭が口臭として体外に放出されます。 便秘によって生じるにおいは、これだけではありません。腸に残った便のにおいが、体臭として皮膚から出てくる場合もあります。便秘が長く続く場合は、体中のにおいに気をつけたほうがよいかもしれません。

腎臓の不調による体臭

腎臓の不調や病気も、体臭の原因になる場合があります。腎臓の機能低下によって、アンモニア臭が生じる場合があるのです。

ここで、腎臓の役割について触れておきましょう。腎臓の機能はいくつかありますが、尿素のろ過と排出はそのひとつです。肝臓の働きでつくられた尿素は、腎臓でろ過されて尿になります。この働きにより、タンパク質の分解で生じたアンモニアの処理が完了するというわけです。 腎臓が不調だと、上記のろ過機能が上手く働きません。結果的に、体内に尿素が残留。体に残った尿素は血液に混じり、体から漂うアンモニア臭の原因になります。

ちなみに、腎臓の機能が低下すると、「尿毒症物質」によって食欲低下や吐き気などが起こる場合があります。体からアンモニア臭がして、かつ体調が悪い場合は腎臓の不調を疑ってみてください。

 

まとめ

体臭は、体の調子を知るためのバロメーターです。いつもと違うにおいを放つことで、体は不調を知らせてくれるのです。もし、ご自身の体臭がキツくなったと感じたら、何らかの体の不調を疑ってみてください。早めの対応が、大病の予防につながるかもしれません。