薄毛対策に亜鉛がよい理由

「薄毛対策には亜鉛の摂取が効果的」といった情報を、耳に挟んだことのある方は多いことでしょう。薄毛に利く栄養があるなら、ぜひ積極的に摂取したいところです。ただ気になるのは、亜鉛が薄毛に利くとする理由。どのような根拠があって、亜鉛の摂取が薄毛対策につながるとされているのでしょうか。疑問の答えを探っていきましょう。

髪と亜鉛の関係

薄毛対策に効果的とされている亜鉛とは、そもそもどのような栄養素なのでしょうか。薄毛との関連性を知るために、まずは亜鉛の基礎知識を押さえておきましょう。

そもそも亜鉛とは

亜鉛とは、13種類ある必須ミネラルの1つです。亜鉛のもつ働きは、タンパク質の再合成や新陳代謝に必要な酵素の産生など。男性の場合だと、性機能にも亜鉛が深く関与しています。

私たち人間の体において、亜鉛は骨や皮膚のほか、腎臓や肝臓、脳などに存在しています。ただし、人体には亜鉛を貯蔵するシステムがありません。このため、毎日の食事によって、体が必要とする亜鉛を補い続ける必要があります。

亜鉛が薄毛対策によい理由

亜鉛が薄毛対策に有効とされる根拠の1つに、英国皮膚科学会誌が発表した論文があげられます。この論文には、「亜鉛にはAGA(男性型脱毛症)の原因であるDHT(ジヒドロテストステロン)の産生を阻害する作用がある」とする記述があるのです。

より具体的にいうと、同論文には「亜鉛は5αリダクターゼの活性を阻害する」と記されています。5αリダクターゼとは、男性ホルモンである「テストステロン」を、AGAの原因物質である「ジヒドロテストステロン」に変換する働きをもつ酵素です。 論文の内容が確かであれば、亜鉛には薄毛を抑制する働きがあることになります。

ただ、論文の根拠となった実験は、培養細胞に亜鉛を与えるという形で行われました。つまり、亜鉛がもつ5αリダクターゼ阻害効果は、人体において確認されたわけではありません。 亜鉛にDHTの産生を阻害する効果があるとしても、人体で同様の働きが起こるかは疑問です。というのも、亜鉛は吸収率が低いミネラルであり、食事で摂取したとしても、5αリダクターゼが存在する頭皮までたどり着く量は微量だからです。

…と、やや否定的な見解を述べましたが、亜鉛の摂取が髪に何の影響も与えないのかというと、そうではありません。先に解説したように、亜鉛にはタンパク質を再合成する働きがあります。 髪の毛の主成分である「ケラチン」というタンパク質を合成するのも、亜鉛の働きの1つです。体内の亜鉛が不足している状態では、タンパク質をたくさん摂取したり、高価な育毛剤を使ったりしても発毛は起こりません。 ところが現代人の食生活では、亜鉛の摂取量は不足しがちとされています。足りていない亜鉛を補うことが、髪の健康に役立つことは確実。この意味で、亜鉛は薄毛対策に役立つといってよいでしょう。

 

亜鉛の効果的な摂り方

亜鉛は特別な栄養ではありませんし、ある程度の量であれば、通常の食事から摂取できます。ただ、薄毛対策を意識するなら、亜鉛のもつ効果を最大限に活かしたいところ。亜鉛を効果的に摂取する方法を見ていきましょう。

亜鉛が多く含まれる食べ物

亜鉛は、特定の食べ物に多く含有されています。毎日の食事で亜鉛を多く含む食品を摂れば、薄毛の抑制効果も期待できるはず。亜鉛の含有量が多い食品をチェックしてみましょう。

・牡蠣・・・亜鉛の含有量=13.2mg/100g

・豚レバー・・・亜鉛の含有量=9mg/100g

・高野豆腐・・・亜鉛の含有量=5.2mg/100g

・牛モモ肉・・・亜鉛の含有量=4.4mg/100g

牡蠣は、亜鉛の含有量がとくに多い食品です。薄毛が気になっている方は、牡蠣を使ったメニューを積極的に食べることを心がけるとよいでしょう。

ちなみに、亜鉛がケラチンを合成する働きは、ビタミンCによって強化されます。ビタミンCを多く含むレモン汁は、牡蠣のフライやレンジ蒸しとの相性が抜群。レモンを活用すれば、美味しさを楽しみつつ、効率よく亜鉛を摂取できます。

牡蠣が苦手な方は、牛モモ肉や高野豆腐などの食品で亜鉛を補いましょう。上記の食品よりは含有量が下がるものの、シジミや納豆からも亜鉛を摂取できます。

…と、亜鉛を多く含む食品をご紹介しましたが、ここで少し注意点を述べなければなりません。その注意点とは、吸収率の低さです。先に触れたとおり、亜鉛は吸収率が低く、食事から摂取してもその多くは栄養として活用されません。 腸における亜鉛の吸収率は、30%前後と考えられています。たとえ大量の牡蠣を食べても、薄毛を改善するほどの効果を得ることは難しいかもしれません。

亜鉛サプリを活用する

亜鉛サプリを利用すれば、食事よりも効率よく亜鉛を摂取できます。1日分のサプリで摂取できる亜鉛の量は、国内の大手メーカー品の場合で14〜18mg程度。海外製のサプリの場合だと、1日分の目安量で30〜50mgの亜鉛を摂取できます。

亜鉛サプリの摂取は、1日に1〜2粒のカプセルを飲むだけと簡単。しかも、値段は1ヶ月分で400〜1,200円程度と安価です。薄毛対策のために亜鉛を摂取するなら、亜鉛サプリを活用しない手はありません。

ただし、亜鉛サプリには利用上の注意点があります。どのような点に注意すべきなのか、次節で詳しく見てみることにしましょう。

 

亜鉛サプリを利用する際の注意点

亜鉛の適切な摂取量を知っておく

亜鉛サプリの利用は、亜鉛の適切な摂取量を意識して行うことが肝要です。前節で解説したとおり、亜鉛サプリを使えば手軽に大量の亜鉛を摂取することができます。ただ、その手軽さが、亜鉛の摂りすぎによる体の不調を招く場合があるので注意しなければなりません。 というのも、過剰に亜鉛を取り過ぎると、同じく重要なミネラルである「銅」の吸収が阻害されてしまうのです。体内で銅が不足すると、吐き気や嘔吐などの消化器系の障害、貧血、神経障害といった症状が現れます。

もっとも、耐容上限量さえ守れば、亜鉛の摂りすぎによる不調は生じません。耐容上限量とは、その量を超えて栄養を摂取すると、健康に害が生じる可能性がゼロではなくなる数値です。 亜鉛の耐容上限量は、成人男性の場合で40~45mg。亜鉛の含有量が多い海外製サプリを使うと、ゆうに超えてしまう可能性がある数値です。

もちろん、サプリで亜鉛を摂取しても、そのすべてが体に吸収されるわけではありません。しかしながら、1日の目安量を超えて亜鉛サプリを摂るような行為は、避けたほうがよいでしょう。

なお、厚生労働省が推奨している亜鉛の摂取量は、成人男性の場合で1日10mgです。一方、日本人男性の平均的な亜鉛摂取量は8mg。推奨量には届いていないものの、極端に亜鉛が不足しているというわけではありません。 亜鉛サプリの摂取は、あくまで食事の補助を目的として行いましょう。

亜鉛は一度に大量に摂取すると、吸収率が下がることがわかっています。亜鉛サプリを利用するなら、含有量15mg程度のものを、2回にわけて摂取するのがおすすめです。

 

まとめ

亜鉛の摂取によって、薄毛がどのぐらい改善されるかは未知数です。とはいえ、健康の土台づくりに、亜鉛が必要なことは確実。体の健康が損なわれている状態で、薄毛が改善されることはありません。薄毛が気になっている方は、本文でご紹介した食品もしくはサプリで、不足しがちな亜鉛を補ってみてください。